愛犬や愛猫も、人間と同様に認知症になることがあるのをご存じでしょうか?
毛が白くなるなど、目に見える老化現象はすぐにわかりますが、愛犬や愛猫の認知症にはどうやって気づけばいいのでしょうか?
症状が表れ始めたときに、早めに気付いて、対処できるようにしておくことが重要です。
ここでは、認知症の症状や、健康維持のためにできることを紹介します。
目次
平均寿命の伸びと認知症の増加
2021年12月にペットフード協会が発表した、2021年の全国犬猫飼育実態調査(推計値)の結果によると、飼育されている猫の平均寿命は15.66歳、犬は14.65歳と、統計開始以来最長となりました。
ここ30年では、平均寿命が約2倍になったともいわれています。
家族である愛犬や愛猫と少しでも長くいられることを考えると、寿命の伸びは嬉しい情報といえます。
ただ、高齢化に伴い、認知症が増加してきています。
早いときには11歳頃には発症することもあり、13歳を過ぎると、発症の確率があがってくるといわれています。
・認知症の症状
認知症になった際に見られる症状には、下記のようなものがあります。
・狭いところに入り込んで出られなくなる(バックできない)
・同じところをくるくる回る
・夜鳴きする
・食欲の異常や好き嫌いの変化
・トイレの失敗・おもらし
・性格の変化(攻撃的になる・無関心・かみつくようになるなど)
・生活リズムの変化(昼夜が逆転するなど)
特に初期の段階では、老化と区別がつきづらいこともあります。
また、こういった行動が出たときでも、別の原因や病気という可能性もあるので、
気になる症状などが表れた場合は、一度獣医さんに相談してみると良いでしょう。
・認知症になりやすい犬種・猫種
まず、現状では猫よりも犬のほうが認知症の発症件数が多いと言われています。
犬の中では特に秋田犬、柴犬などの日本犬で多く発症が確認されています。
残念ながら、現状なぜ日本犬が発症しやすいのか?という理由は判明していません。
日本犬は、日本の環境に順応しているからか、特に長寿な傾向があります。
そのため、『日本犬にはシニア犬が多いことから、認知症の発症割合も多くなる』という見方や、『数十年前まで日本人は魚中心の食生活を送っていたことから、現代の肉中心の生活では不飽和脂肪酸の量が不足しているのではないか?』という見方があるようです。
・認知症になった場合の住環境
認知症になった場合、暮らしやすくケガをしない環境づくりが大切です。
例えば下記のような対策が考えられます。
・狭いところに入り込むと、バックができずに抜け出すことができなくなるため、
隙間を埋める
・同じ場所をくるくると回るときには、角にぶつかることのないようサークルを用意する
・身体面での衰えも出てくるため、滑り止めのマットなどを用意する
特にフローリングの場合は、足腰への負担が大きいため要注意
・寝たきりになった場合や、動かない時間が増えてきたときには、
床ずれ予防のベッドを用意する
※介護が必要になった場合、オムツや歩行補助用のハーネス、また床ずれ予防用の
ベッド以外に、サポーターなども市販されています。
愛犬・愛猫の高齢化とともに、介護用品の種類も増えてきました。
元気なうちからペットショップなどで、どういった介護用品があるのか、一度見てみるのもおススメです。
認知症になった場合だけでなく、シニア犬・シニア猫の生活環境の対策にもなりますので、ぜひ参考にしてみてください。
愛犬・愛猫の健康維持のためにできること
現段階では、認知症を発症した場合に、完治させる治療法などは確立されていません。
愛犬や愛猫の健康維持のためにはどんなことができるでしょうか?
特にシニアの年齢にさしかかるころにできることを4つ紹介します。
・運動をする
適度な運動は健康の維持にとって大切な役割を果たします。
体力や筋力の維持だけでなく、特に愛犬の場合は散歩をするので、家族以外の人や犬との触れ合いや音など、室内にはない刺激をたくさん受けることができます。
愛猫の場合、散歩をしないことも多いので、室内で運動や日光浴ができる環境を整えると良いでしょう。
・不飽和脂肪酸を摂取する
DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸は、脳の健康維持に必要不可欠な栄養素といわれています。
普段から、肉ベースだけでなく、魚ベースのフードやおやつを取り入れるなど、不飽和脂肪酸を摂取できるよう意識してみましょう。
また、アマニオイルやエゴマオイルなどにも不飽和脂肪酸が多く含まれているので、そういったものを食事に取り入れるのもおススメです。
・触れ合う機会をもつ
高齢になっていくにつれて、活動量が減り、寝ている時間が少しずつ増えてきます。
身体を気遣うこともあり、そのままゆっくり寝させておきたくなるかもしれません。
ただ、寝たままだと血行も悪くなってしまうので、一緒に遊んだり、マッサージをしたりすることで、脳を活性化することにもつながります。
大好きな家族に名前を呼んでもらい、なでられるだけでも愛犬や愛猫にとって、とてもよい刺激になります。
・脳を使う
「おすわり」や「まて」などを継続して行うことだけでも、脳を使っています。
さらに、新たなコマンドを教える、知育玩具を生活に取り入れるなど、脳を使うシーンを組み込むことで、刺激を与える機会をつくってみましょう。
愛犬・愛猫の介護
認知症が進んでくると、介護が必要になってくるケースが多くなります。
愛犬や愛猫の生活リズムが昼夜逆転してしまった場合、家族が睡眠不足になってしまうなど、飼い主側の生活リズムにもズレが生じる可能性があります。
また、少しずつ症状が進んでいくと、できなくなることが増えるなど、心身ともにつらい思いをすることが増えてしまうかもしれません。
近年少しずつ、前述したような介護用品が増えてきています。また、愛犬や愛猫のためのデイケアセンターや「老犬・老猫ホーム」などもできてきています。
疲れを感じた時などは、このような施設などを利用してみるのも選択のひとつです。
愛犬や愛猫が健康な状態で長生きできるよう、一緒に運動や食事を楽しみながら、 たくさんコミュニケーションをとっていき