愛犬や愛猫のフードの与え方について「フードローテーション」という考え方があります。
2種類以上のフードをローテーションしながら与えることで、「回転食」とも呼ばれます。
フードローテーションは絶対に必要なことではないですが、多くのメリットが得られる可能性もあります。
今回は、フードローテーションのメリット・デメリット・実践する際のポイントを紹介します。
目次
フードローテーションを行うメリット
フードローテーションを行うと、定期的に愛犬や愛猫が食べるものが変わります。
そのことで得られるメリットを5つ紹介します。
・食物アレルギーの予防
食物アレルギーは、食物に含まれるタンパク質に反応して起こります。
花粉症が起こる原因として、『体内のアレルギー物質の許容量を超えたときに、アレルギー反応が起こる』という話を聞いたことはないでしょうか?
食物も同じように、許容量を超えた時に異常な反応が起こり、それまで問題なく食べていたものを敵とみなし、攻撃するようになってしまいます。
そのため、フードローテーションをすることで、同じタンパク源のものを食べ続けるのを回避し、アレルギーの発症を予防するという考え方があります。
・消化器官を健康に保つ
人間でも普段食べなれていないものを食べると、お腹の調子が悪くなることがあります。
愛犬や愛猫も同様に、普段同じものを食べ続けていると、それ以外の食べ物を口にしたときに消化不良を起こすなど、不調をきたすことがあります。
普段は同じものを食べていても問題がない場合でも、災害時などいつも食べているフードが手に入らない状況になる可能性があります。
そういった場合、色々なフードを食べても問題がない状態になっていると安心です。
・食物アレルギーになってしまった場合に備える
もし、食物アレルギーを発症した場合、ひとつのフードだけを与えていたとしたら、次に与えるフードをすぐに探して切り替える必要があります。
アレルギー源としては問題なかったとしても、嗜好性の問題などで食べてくれない可能性もあります。
いざというときに慌てないためにも、食べられるフードを複数把握しておくと良いでしょう。
・飽き防止
ずっと食べていたフードなのに、急に食いつきが悪くなることがあります。
特段原因がない場合、フードに飽きている可能性があります。
人間に置き換えて考えてみても、大好きなものでも、さすがに毎日同じものを食べると飽き
てしまうことがありますよね。
フードをローテーションさせることで、食に対する興味や喜びを持続させることに繋がり
ます。
・栄養が偏るのを防ぐ
タンパク源により、摂取できる栄養素が異なります。
例えば、肉はオメガ6を多く含んでおり、魚はオメガ3を多く含んでいます。
異なる原料を使用しているフードをローテーションすることで、身体に必要な栄養素をバランスよく摂取することができます。
フードローテーションを行うデメリット
次に、フードローテーションを行う上でのデメリットを3つ紹介します。
・アレルギー源の特定が難しい
特にフードローテーションを初めてすぐに、色々なフードを試すのは避けたほうが無難です。
身体に合う・合わないを把握しない状態で、複数の種類のフードを試してしまうと、トラブルが発生した場合に、原因を特定するのが困難です。
フードローテーションを始める場合は、まずは新しいフードを1種類だけ追加して、数か月様子を見てから進めると安心です。
・消化器官に負担がかかる
フードを急に変えてしまうと、胃腸などの消化器官に負担がかかり、下痢や便秘を起こしてしまうことがあります。
最初のうちは、今まで食べていたフードに新しいフードを少しだけ混ぜてみましょう。1週間ほどかけて、ゆっくりと新しいフードの量(割合)を多くしていき、最終的に完全に切り替えるようにすると、トラブルが起きにくくなります。
・コストや手間がかかる
フードは一度開封してしまうと、酸素に触れ酸化が進んでしまいます。
そのため、お徳用などの大袋のものはフードローテーションにはあまり向いていません。
小サイズのものを購入することになるので、コストがかかるケースがあります。
また、大きめのサイズのフードを購入した場合には、酸化防止のため、自身で真空パックに移し替えるなど、手間が増えるケースもあります。
大袋でも中で小分けになっているものを選ぶなど、どのように包装されているか、購入の際にチェックしておくのもポイントのひとつです。
フードローテーションを実践する
ここでは、フードローテーションの実践例を2つ紹介します。
・タンパク源を変える
フードローテーションを行う場合、「チキン→まぐろ→鹿」など、原材料の動物性タンパク質の種類を変える方法があります。
前述したメリットの5つの全てに対応している方法といえます。
フードローテーションに慣れてきた愛犬・愛猫によっては、「1日おきに違うフードを食べる」「朝と夜で違う種類のフードを食べる」といったやり方をしている場合もあります。
・季節や旬によって変える
例えば、鹿肉やラム肉・牛の赤身などは身体を温める効果があり、馬肉や豚肉(特に脂身)は身体を冷やす効果があるといわれています。
また、冬には脂肪を蓄えることから、高タンパクのフードにするなど、季節に応じてフードを選ぶ方法もあります。
実践する際は愛犬・愛猫の様子を見ながら
フードローテーションのメリットとデメリットを踏まえ、「興味はあるが、実践するには少し不安」という方は、一度獣医さんに相談してみるのも良いでしょう。
また、愛犬・愛猫の体質・持病などによっては、フードローテーションが合わない可能性もあります。
実践する際は、急激に変化をさせず、体調や嗜好性など様子を見ながら自分たちに合ったペースや方法を見つけていきましょう。