タンパク質は愛犬や愛猫の身体を構成している成分の約20%を占めており、とても大切な栄養素です。
そのタンパク質は、アミノ酸が結合して作られており、アミノ酸は「身体を作る材料」といえるほど、身体のありとあらゆる場所に存在しています。
今回はタンパク質を構成している「アミノ酸」について、種類や身体に与える影響などを紹介します。
目次
アミノ酸の種類
人や愛犬・愛猫の身体は20種類のアミノ酸で構成されています。
その20種類のアミノ酸は大きく「必須アミノ酸」と「非必須アミノ酸」に分類されます。
アルギニン、イソロイシン、スレオニン、トリプトファン、バリン、ヒスチジン、
フェニルアラニン、メチオニン、ロイシン、リジン
※猫は上記に加え、必須栄養素のタウリンが加わります。タウリンは厳密にはアミノ酸ではありません。
必須アミノ酸とは、体内で合成ができず、外から摂取する必要があるアミノ酸のことを言います。
グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、プロリン、システイン、
アスパラギン、セリン、グリシン、チロシン
非必須アミノ酸とは、体内で合成することができるアミノ酸のことを言います。
アミノ酸の働き方
アミノ酸は必要量に対し、20種類のうち、1種類でも不足すると、その一番少ない量のアミノ酸に合わせて働きます。
そのため、他の19種類のアミノ酸が必要量を100としたときに、1種類でも70しか摂取できていない場合は他の19種類のアミノ酸も、70の働きしかしないことになります。
そのため、残りの30は無駄になってしまいます。
そのため、1種類でも不足していると、全体的なアミノ酸不足の状態になってしまうのです。
アミノ酸が不足した時の症状
アミノ酸は皮膚や被毛や骨にとどまらず、目や歯、内臓をつくる材料として体内で働いています。
そのため、アミノ酸が不足すると、様々な変化が表れます。
アミノ酸は、まず生命を維持するための機能を優先して働きます。
例えば、どんなに皮膚や被毛が美しい状態にあっても、心臓がうまく機能していなければ、生命の維持はできません。
そのため、直接生命の維持に関係のない、皮膚や被毛などから異常が起こる可能性が高いです。毛艶が悪くなる、毛が抜けるなどのトラブルが見られた場合、アミノ酸が不足している可能性があります。
特に子犬・子猫の成長段階では、通常よりさらに多くのアミノ酸(タンパク質)を必要としますので、不足した場合には成長に影響を及ぼすことも考えられます。
アミノ酸スコア
アミノ酸スコアとは、食品に含まれるタンパク質について、必須アミノ酸の含有バランスをもとに評価する指標で、「利用効率」が数値化されています。
アミノ酸スコアの最大値は100で、100に近いほど必須アミノ酸を効率よく利用できる食品ということになります。
ただし、アミノ酸スコアはあくまで利用率を評価したものなので、含有量が多いということではないので注意が必要です。
また、基本的にアミノ酸スコアとして出回っている情報は人間用のものなので、犬の場合は「アルギニン」、猫の場合は「アルギニンとタウリン」については考慮されていない数値であることを理解しておく必要があります。
基本的に肉類や魚類はこのアミノ酸スコアが100のものが多いです。
実は注目すべき「非必須アミノ酸」
きちんとアミノ酸が働いてくれるよう、総合栄養食では、必須アミノ酸の最低基準量が決められています。
反面、体内で作ることができる「非必須アミノ酸」の最低基準量は決められていません。
きちんと体内で非必須アミノ酸10種類の全てを作ることができれば問題ないのですが、病気や体質、老化などにより、充分に作ることができない場合があります。
その場合、たとえ総合栄養食を食べていたとしても、非必須アミノ酸については、最低基準量が決められていないので、体内で不足してしまう可能性があります。
その場合は食事など、外から摂取する必要があります。
非必須アミノ酸を補うためのサプリメントも販売されているので、そういったものを利用するのもひとつの方法です。
動物性タンパク質と植物性タンパク質
犬や猫は、動物性タンパク質のほうが植物性タンパク質に比べ、消化が得意です。
また、動物性タンパク質のアミノ酸スコアは基本的に「100」ですが、植物性タンパク質である小麦は約40、トウモロコシは約30程度です。
そのため、第一主原料は肉や魚など動物性タンパク質のものがペットフードでは主流です。
どちらがいい、悪いというよりは、バランスをとって両方の良い部分を利用することが大切です。
手作り食を作る場合などは、例えば、アルギニンのスコアが低い食材を使用した場合、別のアルギニンのスコアが高い食材を使用するなど、食事全体で補うことは可能ですが、お肉かお魚をメインにしておくと良質なタンパク質が摂取できるといえます。
摂りすぎには注意
アミノ酸はとても重要な働きをしますが、過剰に摂取することには注意が必要です。
タンパク質はエネルギーとしても働くので、摂りすぎると肥満に繋がる可能性があります。
また、タンパク質を分解する働きを担う肝臓や腎臓に負担をかけてしまい、腎結石などの病気やトラブルの原因になってしまうケースもあります。
意外に意識されない「アミノ酸」
必須アミノ酸は総合栄養食であれば、最低基準値を必ず含有しており、非必須アミノ酸は体内でつくることができる。
そのことから、あまり意識されない栄養素でもあります。
とはいえ、必ずしも体内で充足した状態かどうかは言い切れません。シニアの愛犬・愛猫などで食事量が少なくなるケースも考えられます。
そんな時にどういった食品にアミノ酸が多く含まれているかを知っておくと便利です。
ジムで鍛えている人がプロテインを飲むように、たくさん運動する愛犬と1日30分程度のお散歩をする愛犬では、タンパク質の必要量も異なってきます。
愛犬や愛猫の様子を見ながら、ぴったりな食事やタンパク質の摂取量を探してみてください。