ワンちゃんやネコちゃんが必要とする栄養素は人と同じです。
タンパク質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラル
こちらを総称して、五大栄養素といいます。
また、五大栄養素に、生命を維持するために欠かせない「水」と「食物繊維」を加えて、七大栄養素と呼ばれることもあります。
3回に分けて、それぞれの栄養素の働きや含まれる食材などについて紹介していきます。
今回はまず、「タンパク質」と「脂質」について解説します。
目次
どれくらい摂取すればいいの?
摂取すべき栄養素のバランスや量はライフステージによって異なります。
日本では、幼犬・成犬・老犬など、それぞれの成長段階での摂取すべき量は「AAFCO」の基準を採用しています。
ドッグフードやキャットフードを購入する際に、商品説明にこういった文言が入っているのを見たことはないでしょうか?
「高タンパク・低脂肪」「ミネラルが豊富」など。
実際にどういった影響があるのか、疑問を持つ方も多いかもしれません。
実際にドッグフードやキャットフードを選ぶ時に、理解を深めた状態で選べると理想的です。
タンパク質
タンパク質は身体を作る材料です。
筋肉・皮膚・被毛・臓器や歯まで、体中に存在します。
タンパク質は「アミノ酸」が結合してできており、体内でたくさんの役割を担っています。
身体を作る材料になるほか、栄養素や酸素を運んだり、エネルギー源として働いたりもします。
また、ホルモンや免疫細胞、DNAもアミノ酸から作られているのです。
動物性と植物性
タンパク質には、動物性のものと、植物性のものの2種類があります。
それぞれアミノ酸のバランスや体内での吸収率が異なります。
2種類のタンパク質をバランスよく摂取するのが理想です。
動物性タンパク質
動物性タンパク質は肉や魚・卵などの動物性食品に含まれています。
必須アミノ酸のバランスが良くとれていて、かつ豊富です。
また、植物性に比べ消化がしやすく、吸収率が高いです。
植物性タンパク質
植物性タンパク質は豆類や穀物などに含まれています。
動物性に比べ、脂質が少なく、カロリーが少なくなる傾向にあります。
必須アミノ酸が少ないため、動物性と一緒に摂取するとバランスがとりやすいです。
不足するとどうなる?
タンパク質は身体のあらゆる部分で使われているため、様々な場所や身体の働き・成長に影響が発生します。
まずは生命を維持することに関することから優先的に使われるため、不足した場合は皮膚や被毛などのトラブルから起きやすいです。
摂りすぎにも注意
タンパク質を摂りすぎると、分解をする働きを担う臓器に負担がかかります。
そのため、腎臓や肝臓のトラブルが起きやすくなります。
肥満の一因にもなりますので、摂りすぎには注意しましょう。
脂肪
脂肪は脂質の一種で、炭素・水素・酸素からなっています。
エネルギー源でもあり、1gあたり約9kcalのエネルギーを生み出します。
糖質やタンパク質の約2倍以上の供給量で、非常に効率の良いエネルギー源です。
脂肪酸
脂肪酸は大きく「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられます。
飽和脂肪酸
常温では固体で、肉や乳製品に多く含まれています。
不飽和脂肪酸
常温では液体で、植物油に多く含まれています。
不飽和脂肪酸は大きく3つに分けられます。
オメガ3(n-3)、オメガ6(n-6)、オメガ9(n-9)
上記のうち、オメガ3とオメガ6は必須脂肪酸で、体内で作ることができないため、食事などから摂取する必要があります。
オメガ3(n-3)
代表的なオメガ3
・α―リノレン酸
亜麻仁、エゴマや大豆、ソラマメなどの豆類に多く含まれています。
アレルギーの抑制や、血流の改善や血栓の予防などの働きがあるといわれています。
特にアマニオイル、エゴマオイルは含有量がダントツです。熱に弱いため、ご飯にそのままかけるのがおススメです。
・DHA
青魚(サンマ・サバなど)、マグロ、鮭などに多く含まれています。
脳の情報伝達をスムーズにする、視力の回復に関する働きなどがあるといわれています。
魚が苦手なワンちゃんやネコちゃんの場合、鹿肉にもDHAが含まれています。
・EPA
青魚(サンマ・サバなど)、マグロ、鮭などに多く含まれています。
中性脂肪を減らす、血液をサラサラにするなどの働きがあるといわれています。
非常に酸化しやすいため、抗酸化作用を持つビタミンEなどと一緒に摂取するのがおススメです。
オメガ6(n-3)
代表的なオメガ6
・リノール酸
コーン油、大豆油、ごまやナッツ類に多く含まれています。
血中コレステロールを低下させる働きがあるといわれています。
摂りすぎた場合、善玉コレステロールを低下させてしまう可能性があるため、注意が必要です。
・アラキドン酸
卵黄や豚レバーに多く含まれています。
認知機能の改善に役立つのではないか?と近年注目されています。
母乳にも含まれており、脳の発達にも関係しているといわれています。
オメガ6系の油がマイナスなイメージで捉えられてしまうことがありますが、そうなってしまう理由は「過剰摂取」していることが非常に多いから。
植物油脂やショートニングなど、加工食品にもオメガ6系の油がよく使われています。
対してオメガ3系の油は不足していることが多いです。
どちらも身体には必要な栄養素です。
嗜好性
脂肪はフードの風味や舌ざわりなどに影響があり、基本的に脂肪の含有量が増えると嗜好性が増します。
そのため、生肉を使用したフードは嗜好性が高い傾向にあります。
過剰な摂取は肥満の原因になるので、注意が必要です。
脂肪の役割
エネルギー源であること以外に、脂肪は脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の吸収に必要です。
また、皮膚・被毛の健康維持や、筋肉・細胞膜などの材料としても必要な栄養素でもあります。
不足すると?
脂肪が不足すると、皮膚・被毛のツヤがなくなり、フケが出ることもあります。
大きく不足すると、脱毛や皮膚炎、外耳炎として症状が現れます。
妊娠時の不足は、胎児の奇形・脂肪に繋がる可能性がありますので、自己判断で脂肪の摂取量を減らすのはやめ、懸念点があるときは、獣医師の判断を仰ぎましょう。
今回はタンパク質と脂質について紹介しました。 次回は、炭水化物とミネラルについて紹介します!